授業は生き物であり生ものです。どれだけ素晴らしい授業をしても、生徒さんたちに学ぶ気持ちや主体的な取り組みがなければ平凡な授業になってしまいます。その逆もまた然りで、先生が失敗したり上手く授業をできなかったとしても、生徒さんたちに盛り上げられたり助けられたりしながら、最終的には良い授業で終わることもあります。先生と生徒さんたち、そして学校の雰囲気などが全て合わさった結果、誰もが心から良かったと思える最高の授業になるのです。それを知っているからこそ、私たちは最高の研修で終わることができたとき、生徒さんたちに心から感謝したい気持ちになるのです。
しかし、授業をしていると、どうしても上手くいかないこともあります。いつもと同じように授業をしているつもりでも、上手く運ばない。その理由を探っていくと、もちろん自分自身の問題であるときもあるのですが、実は生徒さんたちの中にネガティヴな(後ろ向きな)生徒さんがいて、その生徒が場の雰囲気を支配してしまっているというケースです(湘南ケアカレッジではほとんどありませんが)。
かつて私が子どもたちに対して授業をしていたときには、ひとつのクラスにほぼ確実に1名か2名はやる気のない子どもがいました。彼ら彼女らは基本的には勉強したくないので、大人しく座っているのであればまだしも、授業が向かっている方向ではないことをあえてします。わざと寝てみたり、大きな声や音を出してみたり、お門違いの答えを言ってみたりと、分かりやすくいうとKYな雰囲気を意図的に作ります。そういった子どもたちすら最終的には同じ方向に向いてもらうのが理想ですが、そこに至るまでの過程において、実際はクラスの雰囲気が壊れてしまうことも多くあります。
それはネガティヴなものや悪いものに、誰しもが引っ張られてしまいやすいからです。私たちには、そういう性質があります。私たち自身を振り返ってみてもらえれば分かると思いますが、人生において良かったことよりも悪かったことの方がより印象に残っていたりするはずです。また日常生活や仕事において、周りにはたくさんの良いことがあるにもかかわらず、些細な悪いことで頭が一杯になってしまったりするはずです。ネガティヴで悪い感情に人間は引っ張られやすいのです。つまり、ネガティヴなものや悪いものは強いのです。
だからこそ、どんな状況においても、私たちはネガティヴなことに引っ張られないと強く意識することが大切です。これは先生であるとか、授業においてに限ったことではなく、私たちが生きていく中での話。ネガティヴなものや悪いものは強いということを知っているだけで、自分がいかにそちらに引っ張られてしまっているかが分かるはずです。そうした意識を持てるだけで、良いことと悪いこと、ポジティヴなこととネガティヴなことのバランスを取れるようになってきます。そうすると次第にネガティヴなものや悪いものは消えて(薄れて)いき、良いことやポジティヴなことが残るのだから不思議です。もしかするとネガティヴなものや悪いものは本当は弱いのかもしれませんね。