信頼こそが最高の授業のカギ

先週の日曜日、第3回「全身性障害者ガイドヘルパー養成研修」が終わりました。寒さを心配していましたが、見違えるような好天の中、動き始めると汗ばむほどの暖かさで、とても気持ちの良い1日でした。毎回この研修を行うときは、1週間前ぐらいから天候が気になり、今回も上手く行くのだろうか、何ごともなく終われるのだろうかと心配の虫がうずき始めます。それだけに、研修が無事に終わってアンケートを読んだとき、皆さまからの温かいメッセージに思わず涙がこぼれそうになりました。朝早くから教室に集まってくださり、無事に帰ってきてくださっただけでもありがたいのに、とても楽しかった、良い研修だったと言ってもらえて嬉しいです。卒業生の皆さんのおかげで、こうした素晴らしい研修を行うことができています。本当にありがとうございます。


研修の最後にもお話しさせてもらいましたが、湘南ケアカレッジの「全身性障害者ガイドヘルパー養成研修」は、自分たちでプランを立て、利用者と介助者(ガイドヘルパー)という関係の中で街中に出て行き、電車に乗り、会話をし、目的地を経て自宅(教室)に戻ってくるという、日本でも(おそらく)初めての企画です。これはできるだけ実際のガイドヘルパーのお仕事に近づけた研修をしたいという想いから始まったのですが、普通であれば、何かあったらどうするの?危険だからという理由で没になる内容です。それでも、こうした形で実現でき、成功することができたのは、卒業生たちとの信頼関係があるからに他なりません。安全に気を配りながら、真剣に取り組んでくれる。時間通りに戻ってきてくれる。卒業生さんたちを信じなければできない内容の研修であり、そう信じさせてくれるのは卒業生さんたちです。

 

もちろん今後、卒業生さん以外の一般の方々に門戸を開くときには、少しだけ心配が残ります。どこにも行かず、どこかで時間をつぶして帰ってきてしまう。時間通りに帰ってきてくれない。連絡をしてくれない。危険なことをしてしまう、などが目立つようになると、やはり私たちがずっと管理しなければいけないという方向に行かざるをえません。団体でぞろぞろと進み、ただ時間を潰すだけの、自分たちで何も考えなくてよい、受け身の研修に成り下がってしまいます。そういう課題は残されていますが、来年度の暖かくなってきた頃にまた行われる「全身性障害者ガイドヘルパー養成研修」でも、ぜひ皆さんが自分で計画し、考え、体験し、学ぶことができるこの形を続けていきたいと思います。

 

最後に、この研修で上手く行かなかったことや失敗したことは学びへとつながります。遠くまで行ってしまって時間に遅れてしまった。トイレに並んでいたら時間が過ぎてしまった。エレベーターが見つからず時間通りに目的地にたどり着けなかった。電車とホームの間に車いすの前輪がはまってしまった。踏み切りに車輪がはまって一人では抜けなかった等々。上手く行かなかったり、失敗したことが勉強になります。むしろ研修だからこそ、そういった怖い経験やヒヤリハットを体験した方が、実際の仕事でその経験を生かすことができるはず。もちろん怪我や事故さえなければという前提で、そういった経験をできる研修こそが最も良い研修ということでしょう。そう考えると、生徒さんと学校との信頼関係が、最高の研修をつくる鍵となるという私なりの結論に達するのです。