
今年度第1回目の「全身性障害者ガイドヘルパー養成研修」が無事に終わりました。まさに無事に終わったというのが私の正直な感想ですが、参加された皆さまはとても熱心に、和気あいあいと授業に参加されていて、やはりケアカレの卒業生たちは素敵だなと感じました。授業が始まる時点で、すでに一体感があることが素晴らしいですし、研修が終わってからの掃除を手伝ってくださった方もいて感激しました。今回は朝からまさかの雨で(天気予報だと晴れだったのに…)、芹が谷公園で行われていた桜まつりと開催が重なったこともあり、実は舞台裏はバタバタしておりました(笑)。ちょうど外に出る時間にタイミング良く雨が上がった幸運もあり、私たちのプラン通りの研修を行うことができましたが、この研修を行うにあたって毎回思うのは、外に出ることは、それだけでリスクがあるということ。そして、それでも外に出て行きたいと願うところに、この「全身性障害者ガイドヘルパー養成研修」の真意があるのではないでしょうか。
まず、外に出ると天候に左右されます。屋内にいれば雨も雪も降りませんし、風が吹きすさぶこともありません。しかし、ひとたび屋外に出ると、往々にして雨が降ったり、寒風が吹いたり、さすがに槍が降ってくるのは見たことがありませんが、猛烈な暑さにさらされたりします。最近でこそ、天気予報がかなり正確になってきましたが、外出しようと思っていた日がどんな天候になるのかは、神のみぞ知る。運次第であり、私たちはコントロールできません。
それでも、湘南ケアカレッジが全身性障害者ガイドヘルパー養成研修で外に出ることを選ぶのは、ただ楽しいからだけではなく、外に出なければならない理由があるからです。10時間の研修時間のうち、ほとんどを屋外で車椅子を押す(または乗る)ことで過ごしてもらうのは、ガイドヘルパーのお仕事がそういうものだから。ガイドヘルパーの研修を屋内で行っても、全くもって意味がありません。屋内で車椅子を押すのと、外で車椅子を押すのとでは違うのです。
教室の中で練習をするのであれば、学校としては(生徒さんにとっても)天候に左右されずに楽ですが、それではこの研修を受けてもらう必要はありません。何としてでも、ガイドヘルパーのお仕事を体感してもらい、身体で理解してもらいたいのです。今回は、既にガイドヘルプを仕事として行っている卒業生さんも参加していただきましたが、「実際のガイドヘルプに即した内容で良かったです」とおっしゃっていただけました。
もうひとつ、外に出ると危険が伴います。いつも暮らし慣れた部屋の中にいれば、何ごともなく、平穏無事に過ごすことができるはず。しかし、ひとたび外に出ると、人にぶつかったり、溝にはまったり、転んだりするかもしれません。電車に乗って相模大野の駅に行くだけでも、様々な困難が待ち受けているかもしれません。
それでも、湘南ケアカレッジが全身性障害者ガイドヘルパー養成研修で外に出ることを選びます。しかも、午後からは2人一組のペアになってもらって、目的地を決めて、実際にそこに向けてそれぞれ単独で行ってもらいます。何が起こるのか、生徒さんたちにも分かりませんし、私たちにもコントロールすることはできません。危ないと言われてしまえばそれまでですが、だとしたら、ガイドヘルプ自体が危ないことになり、外に出ない方が安全だという結論に至ってしまいます。それでは元も子もないというか、自立支援とは方向が全く違いますよね。
私たちは外に出るためにはリスクを取らなければならないのです。外に出ることにはリスクが伴うことを知っておかなければならないのです。それでも外に出たいという、人間として当然の願いや、切実な思いがあるからこそ、ガイドヘルパーのお仕事は貴重なのです。また、だからこそ、安全に行って、無事に帰ってくることが何よりも大切なのですね。そんなことを、頭だけではなく、身体を通して学んでいただきたく、これからも全身性障害者ガイドヘルパー養成研修を続けていきたいと思います。次回は6月19日(日)です。まだ受講されていない卒業生の皆さま、お待ちしております!