身を以て学ぶ

階段から足を踏み外してしまい、足首を痛めてしまいました。あまりの衝撃と痛みに、やってしまったと思い、しばらくそのまま座り込んでしまいました。これまで足をひねったり、くじいたりしたことはあったのですが、階段を落ちるような形で足を痛めたのは初めての体験です。翌朝になっても、痛みは治まるどころか増していたので病院に行ったところ、リスフランじん帯損傷と診断されました。その可愛らしい(?)病名とは裏腹に、足を着地するとズキンと痛みが来るので、足を引きずりながら歩かざるを得ません。情けないのですが仕方ありませんね。でも、いつもどおり歩けない生活を送ってみて、身を以て分かったことがたくさんありました。

 

私はいつも自宅から教室まで15分ほど歩いていますが、さすがに怪我が治るまでは自転車で通おうと考えました。ところが、翌朝、起きてみると、なんと雨が降っているではありませんか…。なんと神様はイジワルなんでしょうか。こういうときぐらいはタクシーを呼ぼうと思い、電話をしたところ、「お近くに車がありません」とのこと。雨の日はみんな考えることが同じなのですね。そこで、仕方なくバスで行くことにしました。思っていた通りバスも込んでいて、雨に濡れながら、私自身も乗り降りに時間が掛かってしまいましたが、ようやく町田のバスターミナルにたどり着きました。

 

そこから教室までの道のりの遠いこと。いつもは人の1.5倍ぐらいのスピードで歩く私が、0.5倍ぐらいの速さでしか歩けないのです。頑張ってどうにかなる問題ではなく、後ろからドンドンと追い抜かれていきます。周りの人たちに迷惑になっているのではないかという申し訳なさと、その感情の裏返しとして、他人に対して苛立ちのような敵対感情が湧いてきます。水たまりを避けて歩いたりしながら、やっとの思いで教室に到着したと思いきや、4階まで階段を上がらなければなりません…。健側の足から上がり、患側の足を引っ張り上げます。このとき初めて、ケアカレ4年目にして、階段に手すりが付いていることのありがたみを感じました。

 

それ以外にも、ズボンの着脱をするときには着健脱患を意識してみたり、お風呂に入るときにはどのようにして入ったら入りやすいのかと考えてみたりもしました。そして何よりも、人の優しさを感じることができました。「どうしたんですか?」「大丈夫ですか?」と声を掛けてもらえるだけで嬉しかったり、動きの遅い私を待ってくださったり、ちょっと手を貸してくださるだけで救われました。中には、私の様子に気がつかない人もいて(気づいているけれど知らないふりをしているだけかもしれませんが)、そんなときは少し複雑な気持ちになります。先生方はとても親身に接してくださって、さすがだなあと改めて思わせられました。

 

 

今まで当たり前にできていたことができなくなって、初めて分かることも多いのですね。ということは、普段の生活を送っている中で、私たちには見えていないこともたくさんあるということです。そのギャップを埋めるためには、自分が体験することが何よりですが(介護職員初任者研修や全身性障害者ガイドヘルパー養成研修ではそこに重きを置いています)、さすがに怪我をしたり病気になったりはしないとしても、私たちは想像し、学ぶべきなのだと思います。そこからしか思いやりは生まれないのではないでしょうか。私自身、ちょっとした声掛けや気配りの大切さを実感できてよかったですし、早く怪我を直して、謙虚な気持ちを持ちつつも、健康に生きていきたいと願います。