働く女性たちを元気に【介護仕事百景】

「スタッフさんたちが戻って来る、港のような場所でありたいです」

 

ポートエモーションという会社を町田で始めることになったと挨拶に来てくださり、その名前の由来を私がたずねたとき、代表の高橋豊さんがおっしゃった言葉である。

 

ポート(Port)は日本語でいうところの港であり、これから大海に向けて水平線しか見えない未知の世界へと旅立つときに、誰しもが通る場所である。そして大海に漕ぎ出した人々は、こころも身体も疲れ果てたとき、港に戻ってくる。最初は通過点でしかなかった港に帰ってくる。帰ってきた人々を港は何も言わずに迎え入れる。「そこにエモーション(感動)があればいいんです」と高橋さんは語る。

 

 

かつて高橋さんも介護の現場で働いていたことがあり、悔しい想いや嫌な経験もたくさんしたという。「特に人間関係には相当にやられました」。多くは語らないが、まだ男性の介護職員も珍しく、完全といってよいほどの女性社会の中で奮闘した高橋さんの姿が目に浮かぶ。そういった自らの経験を通し、現場で働く介護職員の気持ちが分かる人材会社をつくろうと思ったそうだ。「良い人を良い施設に紹介したい。そうしないと利用者さんが困るから」という視点は、介護の現場で働いたことがなければ持ちえないだろう。

 

どのような人が派遣という働き方を利用すべきか

「介護の仕事をするにあたって、どのような人が派遣という働き方を利用した方がよいのでしょうか?」と尋ねてみると、高橋さんから端的な答えが返ってきた。

 

「いきなり施設に就職するのは不安という方。そういう方には、まずは派遣会社のスタッフという形で働いてみて、あらゆる面でサポートをさせてもらい、少しずつ現場に慣れてもらいます。もうひとつは、いろいろ見てみたいという方。いきなり最初からここ!と決めるのではなく、いくつかの現場で実際に働いてみて、自分に合ったところが見つかればそこで働き続ければいいのです」

 

ポートエモーションの派遣スタッフとして働くとき、まずは面談をし、それから施設に行って見学(顔合わせ)をし、契約、派遣前研修、そして勤務初日を迎えるという流れになる。1時間半に及ぶという最初の面談では、しっかりとヒアリングをし、要望を聞き出し、その人に合った施設や働き方を提案する。とにかくお金を稼がなければならないという状況の方には相応しい働き方を提案し、前職で人間関係にやられてしまったという方にはアットホームな職場を勧めたりする。ここに時間を掛けることで、ミスマッチが起こるのを防ぐだけではなく、不安を取り除き、お互いの信頼関係を築くこともできるという。

 

いろいろな施設で働いてみたいという方にとっても、ポートエモーションに所属しながら派遣スタッフとして仕事をするため、次の新しい職場に移っても、履歴書を汚すことがないというメリットがある。もしあるひとつの施設でうまく行かない、自分に合っていないと感じたとしても、一旦契約を終え、別の施設に行くという形で再出発できるのだ。ずっと同じ施設で働き続けることに不安がある人は、3ヶ月毎に契約を更新するかしないかの選択権が自分にあることは、安心感につながるという。

 

派遣という働き方を選ぶ方が9割

ポートエモーションは介護・医療の分野に特化して、人材派遣と有料職業紹介、紹介予定派遣を行っている。人材派遣と職業紹介の違いを分かりやすく説明すると、人材派遣とはポートエモーションに所属しながら提携先の施設や事業所で仕事をすることあり、職業紹介とはポートエモーションを通して施設や事業所を探し、就職をするということである。港のイメージでいうと、港から近くの島々や近海に漁に出て、しばらくすると帰ってきて、また違う場所に向かうのが派遣という働き方であり、港から遠い外国へと旅立つ、ときにはそれが永遠の別れになることもあれば、またいつの日か戻ってくることもあるのが職業紹介である。

 

 

もうひとつ、この人材派遣と職業紹介の中間にあるのが紹介予定派遣である。まずはポートエモーションに所属しながら派遣として施設や事業所で働いてみて、お互いに良ければ、数か月後に完全に所属を移して就職するという働き方。いきなり遠くの地に行くのは不安だから、まずはいつでも帰れるように、行ったり来たりをしながら、決心がついたら旅立つということ。派遣を選ぶか、紹介を選ぶか、はたまた紹介予定派遣を選ぶかは、最終的には働く本人が決めることができる。実際のところは、派遣で働くことを選ぶ人が9割だという。

 

ポートエモーションでなければならない理由

ポートエモーションは町田や神奈川の地域に根差し、このあたりの介護施設については精通している。それはハローワークには掲載されていないような求人情報をたくさん持っているという意味だけではなく、そこがどのような施設かということも把握しているということ。もっと言うと、その施設の人間関係までも知っている。過去に派遣や職業紹介で働いたことのあるスタッフを通じて、そうした情報を経験知として持っている。

 

「ひとりが手に入れられる情報には限りがありますよね。友人知人からの情報をうのみにしてしまっている人もたくさんいますが、聞いてみると偏っていることが多いです。私たちはたくさんの施設のことを知っているので、情報の質や量が違うんです。その中から提案することで、その人の選択肢を広げることができると思います」

 

取材の最後に、高橋さんがとても温かい心の持ち主であることを知っている私は、単刀直入にと言えば聞こえはいいが、ずいぶんとぶしつけな質問をしてみた。でも、これこそが聞きたかったことであり、ケアカレの卒業生さんたちにも伝えなければならないことでもあるからだ。

 

「これだけたくさんの人材派遣会社がある中で、ポートエモーションでなければならない理由はありますか?」

高橋さんはうーんと唸りながらも(それはそうだ)考えを巡らせたあと、こう答えてくれた。

 

 

「時給が高くて、かつ手厚い対応ということでしょうか。この2つは実は両立することが難しく、一方が良いともう片方が悪いということになってしまいがちですが、ポートエモーションはスタッフさんたちにできるだけ多く稼いでもらいながら、見えないところのサポートも極めてしっかりと行っています。施設とスタッフの間を電話だけで右から左へとさばくような人材会社もありますが、うちは施設見学(打合せ)だけではなく、初日には同行までさせてもらっています。スタッフさんたちには安心して働いてもらいたいですし、成長してもらいたいとも思っています」

 

安心して働き、成長してもらいたい

ポートエモーションでは定期的に研修も行われている。ちょうど忘年会と併せて開催されるとのことで、昨年末に参加させてもらった。今回は介護技術に関する内容であり、私の知っているケアカレの卒業生さんたちの姿もちらほらと見られた。私はたくさんの企業で研修を行ってきたが、その施設や企業が主催する研修というのは、どうしてもその施設や企業のやり方や考え方を押し付けるものになってしまいがちである。施設との直接雇用でないからこそ、こうして第3者的に研修を行うことができる。そして、100名を超えたというスタッフさんたちの笑顔を見ていると、普段は別々の施設でバラバラになって働いている仲間たちが港に帰ってきて、お互いの働きを労いながら、ひと息ついているようだ。私たちの仕事にも日常にも、こうしたサードプレイス(第3の場所)は必要なのかもしれない。

 

正しいことを正しい順序で

研修会場の中に、石井裕子さんの姿が見えた。ポートエモーションでコーディネーターとして働く石井裕子さんは、湘南ケアカレッジの第1期の卒業生である。AKB48的にいうと初期メン。しかも石井さんは1期生のリーダーのひとりとしてクラスを盛り上げてくれて、今では湘南ケアカレッジの文化となっているいくつかのこと、たとえば誕生日のお祝いや最後の寄せ書きは、このクラスから始まった。彼女がいてくれなかったら、もしかすると私たちがお互いに感謝し合うというケアカレの文化は生まれなかったかもしれない。そういった礎を築いてくれたという意味でも、私たちは石井さんに感謝している。また彼女とはそれ以来、長きにわたって親しくさせてもらっており、その献身的な仕事ぶりを私は知っているし、また敬意を抱いている。

 

 

そんな彼女に恩を返すべく、もしケアカレの卒業生が人材会社を通した働き方をするならばポートエモーションしかないと思うようになった。先ほどの質問の裏を返すと、これだけたくさんの人材派遣会社がある中でポートエモーションでなければならない理由は、私たちにとってはケアカレの卒業生である石井さんがいるから。たくさん施設がありすぎてどこを選んで良いのか分からない、仕事について相談できる相手がいてほしいなど、そんな生徒さんがいたら石井さんを紹介した。彼女ならば、親身になって話を聞いてくれ、卒業生に合った働く場所を探してくれるはず。ケアカレの卒業生に卒業生のお仕事の相談に乗ってもらう。それは信頼というバトンの受け渡しでもある。

「うちは正しいことを正しい順序で行っていると思います。派遣だと社会保険もかけてもらえないと思っている方もいらっしゃいますが、それは誤解です。うちは社会保険にも加入することができます。だからこそ、安心して働いてもらえるのではないでしょうか」と胸を張って石井さんは語る。

研修が終わり、忘年会に会場を移動することになった。私もあとから駆けつけると、まさに乾杯の音頭を高橋さんがとろうとしていた。長たらしい挨拶など抜きにして、「お疲れさまです!」の合図でジョッキとジョッキがぶつかり合った。スタッフの人たちは、それぞれに思いの丈を語り合い、そこに高橋さんや石井さんやコーディネーターの方々が混ざって労をねぎらう。研修や忘年会に飛び込みで参加させてもらっただけで、ポートエモーションがスタッフをどれだけ大切にしているかがよく伝わってきた。「働く女性たちを元気にしたい」と語る高橋さんと石井さんたちの願いがここに叶いつつある。

採用情報

施設・事業所名称 株式会社ポートエモーション
サービス形態 一般労働者派遣事業、有料職業紹介事業
勤務場所 町田市、相模原市を中心に東京、神奈川、他首都圏
最寄り駅・アクセス

小田急線 町田駅から徒歩2分、JR横浜線町田駅より徒歩4分

募集職種 介護士
雇用形態

正社員、非常勤、派遣

仕事内容

介護業務全般(食事介助、入浴介助、排せつ介助等)

給与

介護職員初任者研修(経験あり:1400円 経験なし:1350円)、介護福祉士1500円

ボーナス

なし

勤務時間

就業先による(勤務時間応相談)

休日

4週8休のシフト制(勤務日数応相談)

資格 無資格でも可
見学 OK
夜勤 希望による
交通費 別途支給(上限3万円) 
社会保険 完備
車通勤 可 
昇給 なし
選考プロセス 面接後、施設見学(顔合わせ)、派遣前研修、契約、就業開始
求める人物像

人柄重視、頑張る人、頑張りたい人を応援します!

その他  

 

★ポートエモーションで働いてみたい方、またお問い合わせ等は、以下のメールフォームまたはお電話(042-710-8656)で村山まで。担当の方にスムーズにおつなぎします。