学校から居場所へ

今年は湘南ケアカレッジの創立5年目にあたります。5年という歳月を長いと感じるか、短いと感じるかは人それぞれ。私にとってはまだ5年目の新しい学校のつもりでいますが、生徒さんたちにとってはもう5年目の実績がある学校と映るようです。そして最近は、湘南ケアカレッジが介護・福祉教育の学校という枠を少しずつ超え始めてきているのではないかと思うことがあります。生徒さんたちが左から右へと入っては出てゆく点ではなく、クラスメイト同士がつながって、介護の現場で卒業生さんたち同士がつながり、そして私たちとつながっていて、それぞれの心の中心にある場所、もっと言うと「居場所」のような存在になりつつあるのではないでしょうか。

 

先日はある生徒さんがプライベートな相談をしに来てくださいました。彼は介護職員初任者研修から実務者研修と受け、その後も何度か教室に足を運んでくれ、彼の仕事のことから身の周りのこと、クラスメイト同士のつながりまで教えてくれたので知っています。近くのラーメン屋に行って、1時間近く話しを聴きました。相談と言うべきか、事後報告というべきか分かりませんが、この半年、彼なりに悩まれて決断したとのこと。私にはどうすることもできない問題ですし、ただ話を聞くだけのことしかできませんが、それで良いのかなと思います。フランスに旅立つ前に、ケアカレに顔を見せにきてくれたのかもしれません。

 

翌日は3年前の卒業生さんから電話が掛かってきました。この度、新しい訪問介護の事業所を立ち上げることになったそうです。ケアカレを卒業してから現場で働き、介護福祉士を取って、いよいよ独立してやってみることにしたとのこと。実は、彼女の友人が今年1月のクラスに紹介で来てくださっていたので、噂は聞いていましたが、本人から直接連絡をいただき、「おめでとうございます。頑張ってくださいね!」とエールを送ることができました。その電話で、「あのとき教わったことが、ずっと心の芯としてあります。ほんとうにケアカレさんに行って良かったと、今でも思っています」とおっしゃってくださいました。教室に足を運んでくださる生徒さんはごく一部であり、彼女のように姿は見せないけど、ケアカレのことをずっと覚えてくれていて、心の居場所になっているという方々はたくさんいるのだと思います。

 

 

湘南ケアカレッジが生徒さんにとっての居場所になっていることは、ありがたいことです。佐々木先生が介護職員初任者研修の中で、「ありがたいとは、有り難いこと。めったにないこと、感謝すべきことなんですよ」とお伝えしているように、卒業生さんたちにとって介護の学校が居場所になることは、有り難いことです。そういう居場所のように思ってもらえる雰囲気をつくってきてくださった、先生方に感謝します。先生方が生徒さんひとり一人のことを想って、先生と生徒という関係だけではなく、人として、ときには友人として、接してくださったからこそ、湘南ケアカレッジがただの学校ではなく「居場所」になったのですね。