できないができるに

先々週の土曜日、第8回講師会が行われました。年に2回しか開催されない講師会だけに、湘南ケアカレッジが開校してから丸4年が経ったことになります。私にとって講師会は、何よりも大事なイベントであり、なんとしても先生方に喜び、楽しんでもらいたいと、1か月前ぐらいから準備を始めます。5年目を迎える今回の講師会も、バラエティに富んだ内容に加え、盛りだくさんのお土産をお渡しすることができました。ちょっと奮発しすぎた気もしますが(笑)、今こうして湘南ケアカレッジが先生方と共にあることを祝いたいという気持ちで一杯です。そして、今回は先生方からもケアカレへのプレゼントをいただきました!

 

今回の講師会において、ケアカレの歴史と文化を振り返ろうと、1期生から73期生までの集合写真をプレイバックするという企画を考えました。実際は時間の関係で割愛してしまいましたが、私自身は準備段階で全てのクラスを思い出しながら、歳月の流れる速さを実感しつつ、よくここまでやってこられたという想いを強く抱きました。さらに湘南ケアカレッジが誕生する前にまで思いは及び、ひとつ一つの出来事を鮮明に思い出せば出すほど、湘南ケアカレッジが今このような形で存在することが奇跡のように思えます。

 

決して大げさに言っているわけではなく、あのひとつの出来事がなければ、あのタイミングでひと言が掛けられていなかったら、あそこでああしていなかったら、湘南ケアカレッジはなかったのではないかと思うのです。湘南ケアカレッジがなかったということは、今の先生方と出会うこともなかったかもしれませんし、ケアカレに来て卒業してくださった2000名の生徒さんたちとも会うことがなかったということです。人と人との出会いは運命や縁などと言われますが、それ以上の奇跡なのかもしれません。

 

こうした奇跡が起こったきっかけを振り返ってみると、できないことができることにつながったからだと改めて思いました。私は同級生よりも社会に出るのが2年遅れ、さらに氷河期に就職活動にも失敗したこともあり、自分にとっては不本意な仕事ばかりしてきました。今となっては天職だと思っていますが、最初は介護の業界で仕事をするとは思いもよりませんでした。仕事を辞めて引きこもりの生活を2年間にわたってしたこともありますし、かと思えば、1ヶ月500時間労働を2年間続けたこともあります。当時は出口が見えずに苦しみましたし、運が悪かったと嘆いたこともありましたが、すべては自分の弱さや至らなさによるものであり、何の言い訳もありません。

  

ところが不思議なことに、そうした出来事のすべてが、湘南ケアカレッジが今ここにあることに欠くことのできなかった経験であり知識になっています。私が何でもできる人であれば、湘南ケアカレッジは生まれていなかったと断言することができます。私が何もできなかったからこそ、傷つけられたり、もがいたり、工夫したり、助けてもらったりしたことで、いつしか自分にもできることや居場所を見つけられた。これからもできないことを大切にしつつ、先生方や生徒さんたちと一緒にできることを見つけ、つくり出して生きたいと思います。