何を伝えるか

2月からスタートした実務者研修の2つのクラスが終わりました。最後の授業は医療的ケアとなり、介護の先生方から受け継いだバトンを看護の先生たちが大切にゴールまで運びます。同じ時期にスタートしたにもかかわらず、2月土曜日クラスと火曜日クラスは好対照なクラスでした。土曜日クラスは、おそらく介護職員初任者研修を含めてもこれまでの中で最も賑やかに盛り上がり、火曜日クラスは、どちらかというと黙々としかし一生懸命に取り組んでくれていました。たった1日しか関わらない看護の先生方も、あまりの大きな差に驚き、最後はそれぞれのクラスによって雰囲気が異なることを楽しんでくれていました。どちらも愛すべき人たちによる愛すべきクラスでした。

授業が終わってから、先生方と打ち上げをした中で、土曜日クラスにはリーダーがたくさんいたという話になり、そこから一緒に働くスタッフに何をどのようにして伝えるべきかという問題に発展して語りました。そう、看護師の先生方もまた現場でリーダーや上司として活躍し、また壁にぶつかっているのです。

 

自分がリーダーまたは上司として、誰かに何かを伝えなければならないことがあるとき、どのようにして伝えると効果的か、相手に響きやすいのかは確かに永遠のテーマです。相手のできていることとできていないことを見極めて、できていることは褒め認めつつ、できていないことを「こうすればもっと良くなる」とフィードフォワードする。やってみせて、やらせてみる。そして褒め認める。つまり感情的に注意したり、自分の言いたいことだけを言わないということです。

 

これができている人は少ないと思いますが(私もできていないことがあります)、それができている看護の先生方の悩みはその先にあります。感情的ではなく、上のサイクルを意識して伝えているにもかかわらず、伝わりにくい人やことがある。回りくどくて伝わらないのか、タイミングが悪いのか、相手の能力の問題なのか。伝え方の基本も、万人に対して有効とは限らないのです。

 

 

そんな話をしていて、ふと思ったのは、どう伝えるかも大切ですが、それと同じぐらい、何を伝えるのかも重要だということです。伝えたいことは両手ほど(10個ぐらい)あるけれど、そのうちのどうでも良いことはどれで、今は目をつぶれることはどれで、これだけは分かってもらわないと致命的になるのはどれかと腑分けします。10個全部を伝えても1つも心に残らないので、そのうちの最も大切な1つだけに絞り込んで伝えるのです。この選択こそが、リーダーや上司にとって、難しく大切な仕事ではないかと私は思うのです。