人のために時間を使う

卒業生にお便りや研修の案内を送ると、思わぬ人が訪ねてきてくれたり、数年ぶりに電話を掛けてきてくれたりします。「あれから〇年も経ったのですね」と素直に懐かしく感じられることもあれば、「えっ、あのクラスが修了してからもう〇年ですか!」と懐かしさを通り越して、衝撃を感じてしまうことさえあります。先日は、ちょうど1年ぶりに教室に足を運んでくださった卒業生さんがいました。馴染みのある顔に、最近修了したばかりと思って接していましたが、話を進めてゆくと、ちょうど1年前の9月生であることが判明しました。つい昨日のことのように思い出されるクラスメイトさんや授業風景の数々が、1年も前の記憶だとは…。毎月、新しい研修が始まり、目の前にいるひとり一人の生徒さんたちやクラスと毎日向き合っていると、時が経つのは速いものですね。そこには充実感や達成感と共に、人生のはかなさを感じざるを得ないのです。


年齢を重ねてきたせいか、最近は特に歳月の流れるのが速く感じます。あっという間に1ヶ月が過ぎ、あっと言う間に1年が経つように思えます。たしかに、生涯におけるある時期の時間の心理的な長さは年齢に反比例するという「ジャネーの法則」があります。たとえば5歳の人間にとっての10日間が50歳にとっては1日間に感じる、つまり主観的に記憶される年月の長さは、年長者にはより短く、年少者にはより長いということですね。このジャネーの法則を応用して、〇歳時において人生は体感時間として何割終わったのか?を数式で出すと、以下のようになるそうです。

 

3歳  25%

9歳  50%

20歳 68%

30歳 77%

40歳 84%

50歳 89%

60歳 93%

70歳 97%

 

 

私の場合は、残された人生の体感時間はたった15%ぐらいということになります。介護の世界では、健康寿命や平均寿命(余命)といった考え方がありますが、体感余命というのも面白いですね。体感余命を知ったところで、何かできるということではありませんが、時間の大切さを再認識するきっかけにはなりますね。日野原先生は、「命は時間である」とおっしゃいました。残された命(時間)をどのように使うのか、自分に問うてみる時間もときには必要です。私はここにも書いたように、もう一度人生を生きたとしたらそうするように最初から生きたいと願っていますし、これから残された時間は、自分のためではなく、できる限り人のために使いたいと心に決めました。