学ぶことで好きになってゆく

81期生が無事に終了しました。今回のクラスは人数こそ少なかったものの、様々な年齢や性別の人たちが集まり、同じ目標を持って共に学んでくれました。特にこれから介護の仕事をする若い世代の生徒さんも目立ち、それぞれに高い志を持って受講してくれたおかげで、実技テストの得点も総じて高かったのが印象に残っています。私が彼ら彼女らの年齢だった頃のことを思い出してみると、実に幼く、自分のことしか考えていなかったことを恥ずかしく思います。彼ら彼女らが介護・福祉に興味を持ってくれていることが嬉しく、湘南ケアカレッジに来て学んでくれたことで、この世界を好きになってくれたら幸いです。研修の最後に、とても綺麗にデコレーションされたメッセージボードをいただきました!

 

今だから話せますが、私は自分の好きなこと(趣味)以外にはこれといってやりたいことのない、特に仕事に関しては全くと言ってよいほどモチベーションの低い若者でした。自分の好きなことでは稼ぐことができないと分かってから、いわゆる就職活動を始めたものの、履歴書に志望動機を書くことすら難しく、面接で思ってもいないやりたいことを話すのも苦痛に感じてしまうほどのダメ就活生でした。結局、まともな就職活動もせず、最後の最後に駆け込んだ教育産業(塾)で働くことになりました。とはいえ、仕事に対するモチベーションはなく、上司が常駐していないのをいいことに、本を読んでばかりの毎日を過ごしていました。

 

その仕事は1年で退職し、2年間の引きこもり生活を送りました。そろそろ働かざるを得なくなり、縁あって大手の介護スクールへ入社しました。そこは並みのブラック企業も黙るブラック企業でした(笑)。契約社員だった1年目はまだましでしたが、正社員になってからは1ヶ月に500時間も働きました。大げさに書いていると思わるかもしれませんが、本当です。誰もいないオフィスに朝8時に出社して、お昼休憩などもちろんなく(昼食は5分で済ませます)、24時20分の終電に飛び乗って帰るという日々。休みという休みはほとんどなく、極度のプレッシャーと睡眠不足にひたすら耐えた3年間でした。

 

 

不思議なことに、苦しくてたまらなかったはずのその仕事から、私は本質的な何かを学び、介護・福祉の世界を少しずつ好きになっていったのでした。私の大好きな写真家であり冒険家でもある星野道夫さんは、「どんどん好きになってゆくプロセスだと。それが、勉強をしていくことだと思う」と語りました。つまり、好き嫌いは最初からあるものではなく、学ぶことを通して好きになるのだと思います。好きなことを仕事にした方が良いとか、逆に好きなことは趣味にとどめておくべきとか、そういうことではなく、仕事における好きとは、勉強をして何かを学ぶことで、そうなってゆくものなのです。

卒業生のお母さまでもある卒業生さんから素敵な観葉植物をいただきました。教室の目立つところに大切に飾らせていただきますね。ありがとうございました。