学ぶことで生まれ変わった

卒業生さんが教室に顔を出してくださいました。彼が遊びに来てくださるのは久しぶりで、ガイドヘルパーの仕事が町田で終ったあとに寄ってくれました。最近はほとんど休みなく、仕事を頑張っているとのこと。およそ3年前に彼が介護職員初任者研修を受けてくれたときのことを知っているだけに、「今こうして介護の仕事をできているのは、ケアカレの先生方のおかげです」と言ってくれる彼の生まれ変わった姿を見て、素直に嬉しく思いました。学ぶことや知ることで、人は変わることができるのだと実感します。

彼は介護職員初任者研修を受けることないままデイサービスで働き始め、認知症の利用者さんに苦しめられたそうです。今はなぜ認知症の利用者さんがそのような言動をするのか理解できるようになったのですが、当時は認知症の利用者さんのことが全く分からず、気が狂いそうになって、怒鳴り合いの大げんかをしたこともあったそうです。今となっては笑い話ですが、当時は利用者さんに手を出してしまう、虐待の一歩手前の状態だったと言います。このままだと自分がおかしくなってしまう、利用者さんを傷つけてしまうと思い、もう介護の仕事は辞めようと思っていたところ、会社のすすめで湘南ケアカレッジに来ることになりました。

 

マイナスのモチベーションの中、介護職員初任者研修がスタートしました。そんな彼に転機が訪れたのは4日目の授業の中で、小野寺先生が認知症の利用者さんがクレヨンを食べる話をしてくれたときのことでした。その話を聞いたとき、彼の中で「そうだったのか!」と認知症の方のことがはっきりと分かり、これまでとは認知症の方が全く違って見えてくるようになったのです。そこから先の彼は、まるで人が変わったかのように積極的に学び、クラスメイトたちと一緒に楽しく修了することができました。今となっては、認知症の利用者さんが大好きで、一緒にいると楽しいと彼は言い切ります。

 

 

「認知症についての知識がない人が、認知症の利用者さんと向き合う中で精神的に病んでしまい、つい感情的になって手を出したり、(あの事件のように)虐待を行ってしまう気持ちが分かるような気がします。知らないって怖いことです」とかつての自分を振り返りながらも彼は、「ケアカレの先生方はすごいです。介護の仕事は楽しいということをずっと伝え続けているのだから。現場を知っていると、それってなかなか難しいことだと分かります」とも付け加えてくれました。彼が右往左往しながらも頑張って介護の仕事をやり続けてくれているからこそ、私たちはこれからも介護の仕事の素晴らしさを伝え続けていけるのですし、彼が生まれ変って楽しく生きてくれていることを何よりも嬉しく思います。