10年後の自分たちに感謝されるために

年の瀬が近づいてくると、その年を振り返ってみたり、来年やその先の将来に思いをはせてみる機会が増えます。湘南ケアカレッジは今年で5年目を迎え、いよいよその5年目が終わろうとしています。ひとつの節目と言えば節目であり、ここまで先生方や生徒さんたちのおかげで、思い描いていた理想的な学校を続けてくることができました。もちろん、100年続く学校を目指していますので、まだまだこれから先もケアカレは変わらずに続いていきます。

 

変わらずにい続けることは本当に難しくて、そのためには変わり続けなければいけません。そのようなことを眠れない夜に悶々と考えていると、ふと10年前に読んだ糸井重里さんの「10年後の自分たちに感謝されるために」という対談記事のことを思い出しました。その対談の中で、糸井さんは10年後の自分に感謝されることをしたいと語っていました。

 

糸井重里さんは、誰もが知る一級のコピーライターとして活躍していた時代がありました。順風満帆と思われていましたが、本人は広告やコピーライターとしての未来が明るいものには思えなくて、45歳のときに一端、仕事をすべてストップして、釣りばかりしていた時期がありました。その後、一念発起して、インターネット黎明期に「ほぼ日刊イトイ新聞」を立ち上げました。今や株式会社として上場するほどの、大きな影響力のあるホームページとなりました。

 

10年後の自分に感謝されることをする。それは口で言うほど簡単なことではありません。10年後の自分が10年前を振り返ってみて、あのとき10年前の自分が重い腰を上げて○○してくれたからこそ今の自分がいる、と思ってもらえるような何かを始めたいのです。そういえば、今から10年前を振り返ってみると、ちょうど前に務めていた大手の介護スクールを辞めて、自分で何かをやろうとしてもがき始めた頃でした。あのときのチャレンジは上手く行きませんでしたが、今から振り返ってみると、あのとき勇気を出して1歩を踏み出したからこそ、今の湘南ケアカレッジにつながったのでした。

 

それ以外に過去を振り返ってみても、何か大きな決意をして行ったことは10年、20年という歳月を経て、今の自分に大きく影響を与えています。今を生きると言えば聞こえは良いですが、実は過去の自分がつくった今しか生きられない、と言い換えることもできるのではないでしょうか。しかもそのスパンは思っている以上に長く、10年前の自分が今の自分をつくり、今の自分が10年後の自分を変えていくということになります。

 

10年後の自分に感謝されるためにすべきことは、もしかするとこれまでの延長線にはないのかもしれません。糸井さんがコピーライターを辞めてインターネット上にホームページを立ち上げたように、過去の経験や成功体験を一旦立ち切って新しく始める何かが10年後の自分を輝かせる。未来を創るとはそういうことなのかもしれません。10年後の自分たちに感謝されることをしよう、という強い決意を持って来年に臨みたいと思います。