好きを仕事にすること、仕事を好きになること。

同行援護従業者養成研修のお申込書に、卒業生さんからの手紙が添えられて届きました。介護の仕事を始め、現場での様子など近況報告が綴られていて、最後に「この仕事が好きだと分かりました。そのことを教えてくれた先生方に感謝します」と書かれていました。この一文を読み、とても嬉しく思いました。最終的に介護の仕事を好きになれるかどうかは本人次第だと思いますが、そのきっかけをケアカレがつくれたことを誇りに思いますし、先生方がしたいこともそういうことなのだと思うのです。介護の仕事を好きになってくれて、嬉しくないわけがありません。

 

最近は、好きなことを仕事にすることが大事だとされていますし、私もそう思ってやってきました。今でもそう思っています。元から好きなことがあって、それを通して他人に貢献することで報酬を得て、生きていく。好きを仕事にするとは、そういうことです。でも、好きを仕事にすることは案外難しく、そもそも市場がなかったり、ほんとうに一握りの人たちしか稼げないほど競争が激しかったりします。私もかつてビリヤードのプロになりたいと思っていたことがあったので、その気持ちも難しさもよく分かります。

 

好きを仕事にできれば良いのですが、そうでなくても、仕事を好きになっていくことができれば、それもまた良いのではないでしょうか。世の中には5万種類ぐらいの仕事があるらしく、その中で自分がたまたま選んだその仕事を好きになってゆく。最初は自分にできるのか、自分に合っているのか手探りの状態であっても、気が付くといつの間にか好きになっていた。もしくは、やらざるを得ない状況だったので続けていると、段々とできるようになって、楽しくなり、何となく好きになっていた。仕事が好きだと感じているほとんどの人たちは、実はそういうプロセスを経ているのではないかと思うのです。

 

 

嫌いな仕事に無理をして取り組む必要はありませんが、何となくでも始めてみないと好きかどうかは分かりませんし、最初はそうではなくても、少しずつ好きになってゆく方が奥は深いと思うのです。好きを仕事にするのは、自分の中にすでにあったものを世に問うているのに対し、仕事を好きになっていくのは、身を投じて自分とその仕事をすり合わせ、自分にはなかったものを見つけること、自分を一旦壊してつくり直すこと。それはそれで案外難しいことです。そのような葛藤や試練を経て、自らが磨かれていく先に、「この仕事が好き」という境地が訪れるのだと思います。介護の仕事が好きだと言ってくれる生徒さんが、ひとりでも多く増えてゆくことを願います。