基本は大事

先月、第1回の同行援護従業者養成研修が終わりました。湘南ケアカレッジ6年目にして、初めての研修ということになります。ずっと開催したいと思っていて、ずっと開催してくださいとお願いされていた研修でもありますので、ようやく形になったというのが正直な気持ちです。やることは簡単なのですが、湘南ケアカレッジがやるとすれば、最高のものでなければなりません。受けて良かったと思ってもらえるような研修でなければ、ケアカレがやる意味がないのです。そういう想いで介護職員初任者研修も実務者研修も全身性障害者ガイドヘルパー養成研修も行ってきました。2日間の同行援護従業者養成研修が終わり、生徒さんたちが笑顔で帰ってゆく姿を見て、やって良かったと安心しました。

まずは両日ともに好天に恵まれたことが大きかったです。春なのに夏のような日差しと熱さで、生徒さんたちは大変だったかもしれませんが、気持ちの良い汗をかけたのではないでしょうか。初日は同行援護の制度について、また基礎知識から基本技能を学んでいただきました。

 

授業の途中で行われた「音と香りのハーモニー」では、生徒さんたちにアイマスクをしていただきながら、あらゆる環境の音や様々な香りを感じていただく体験をしました。耳を澄ませば、いつもは聞こえなかったものが聞こえ、香りに意識を傾ければ、気づかなかった香りを味わうことができるのです。

 

「音の方向は何となく分かりましたが、味や香りは見えなくなると分かりづらかった」、「目の見えない世界を知ることができた。また視界をさえぎることで、耳や感覚が研ぎ澄まされるような気がした」という声がありましたね。

 

 

同行援護の基本技能に関しては、基本姿勢をこれでもかというほどに徹底しました。利用者さんの半歩前に平行にきっちりと立つ、脇を締めることで美しい姿勢が保たれ、安全と安心が確保されるのです。できるガイドヘルパーかどうかは姿勢を見れば分かる、と千種先生は言うように、何よりも先に基本姿勢をしっかりと身につけることが大切です。

 

 

私は今から15年ほど前に大手の介護スクールで視覚障害者ガイドヘルパー(同行援護従業者養成研修の前身)をやっていましたが、基本姿勢をここまでしっかりと教えていませんでした。今から思えば、そのときの先生たちも授業も、基本技能を教えられるレベルにはなかったのだと思います。

その他、アイマスクをしながら食事介助、町田市民ホールまで行って階段昇降やまたぎ、トイレの介助についてなど、あらゆる場面における基本的な動作をみっちり練習しました。歩き出す前に一旦と止まるというのも基本技能のひとつであり、慣れてくるとどうしても抜けてしまいがちなことでもあります。

                             

2日目にこどもの国へ外出する前に、このあたりの基本技能はマスターしておきたいものです。「研修初日のあと、右腕を振らないことを意識したり、右側に人がいることを想像しつつ行動したり、トイレに入るとき誰かを同行援護しているつもりで言葉を頭の中で繰り返したりしました」と言ってくれた生徒さんもいました。

 

 

基本は大事。これはスポーツでも勉強でも仕事でも、何にでも当てはまることですが、今回の同行援護従業者養成研修でもそれを改めて思い知らされました。千種先生自身も、実はガイドヘルパーになりたての頃、かなり厳しく基本技能を教えられたことがあり、それがのちのち大きく役に立ったし、だからこそ10年以上もガイドヘルパーの仕事の依頼が絶えず、今も楽しく続けていられるそうです。湘南ケアカレッジの同行援護従業者養成研修を修了してくれた方々も、同じように長く楽しくガイドの仕事を続けてもらえるように願います。