本には3種類ある

最初に勤めた会社の上司に、「本には3種類ある」と教えてもらいました。ひとつは、自分が好きで選んで読む本。趣味の本であったり、小説のようなものであったりすると思います。2つめは、自分のためになる本。今の自分にとって必要な知識や情報を得るための本ということです。3つめは、他人から勧めてもらって読む本。面白かった、良かった、ためになったから読んでみたらと、誰かが勧めてくれた本です。つまり、どれか1種類の本ばかりを偏って読むのではなく、3種類の本をバランス良く読むと良いよという教えでした。

その教えは今でも覚えていて、役に立っています。ひとつめの種類の本は、自分の世界を深くしてくれます。自分の興味のある分野を、下へ下へと深く掘っていくイメージです。心に余裕のあるときに、ゆっくりと時間をかけて、自分の世界を深めていくことができます。小説などの物語を読んでも、目に見える実利はありませんが、それでも自分ではない誰かの人生をまるで自分のことのように想像して生きてみるという行為自体が楽しいものですし、人間として大切な他者の人生に対する想像力を培うことができます。

 

 

 

また逆説的ですが、小説を読むことは、フィクションとノンフィクションの区別をつけることです。小説の中の物語をフィクションとして読むことができるからこそ、自分の人生をノンフィクションとして生きることができるのです。

 

 

 

2つめの種類の本は、学術書であり専門書であり、またノウハウ本であったり自己啓発本であったりします。社会に出て仕事をするようになってから、私はこのタイプの本を読むようになりました。知っていなければ生きていけない、より良く生きるために知っておくべき知恵や情報として、砂漠の砂が水をそうするかのように吸収するための本です。たとえば医学の知識に乏しい医者がヤブ医者と呼ばれるように、自分の生業に関する専門知識を得るためには本を読むことが大切です。また、未来に起こるであろうことを知るためにも必要ですね。

 

 

3つめの他人から勧めてもらった本は、一見、自分には興味がなかったり、とっつきにくかったりするものですから、敢えてすぐに読んでみることを心がけています。誰かが自分に対してすすめてくれた本は、よほど面白かったか、または自分が読むべき理由が何かあるのかもしません。そうして自分の範疇にはなかった本を読むことで、自分の世界が広がりを持つことがあります。その上司が勧めてくれた本は、当時の私には難しかったのですが、そこに食らいついて読んだことで、自分がいかに常識にとらわれた小さな箱の中で生きてきたかを知った気がします。

 

最近は、小野寺先生から「自分で動ける部下の育て方」、影山さんから「今日も1日きみを見てた」を勧めてもらって読みました。どちらも面白かったです!