89回目の初授業

5月短期クラスが修了しました。最初は静かなクラスかと思いきや、いつの間にか賑やかなクラスに様変わりし、特に実技演習中はその盛り上がりが、下の階の事務所まで届くほどでした。親子かそれ以上の年齢の幅がある生徒さんたちが、まるで同級生のように話をして、学び合っているのが伝わってくるクラスでした。その中心にいた生徒さんが、皆で色紙を作ろうと提案してくれたそうです。「私たちはそう思っていても言い出せなかったけど、彼女が率先して進めてくれた。彼女はすごい」と褒めていたり、「最近の若い子はスマホばっかりいじっていると思っていたけど、彼女たちみたいな若者もいるのだと知って安心した」と周りの生徒さんたちも認めていました。こうした世代を超えた交流が生まれるのも、介護職員初任者研修の魅力のひとつですね。

いただいた色紙には、89期生と大きく書かれていました。生徒さんたちが全員帰ったあと、小野寺先生たちと「ほんとうにあっと言う間に89期生まできましたね。来年の4月短期クラスでちょうど100期生になるみたいです」と話しました。あの本当に生徒さんたちや先生方が来るのか心配してスタートした1期生のドキドキから、もう89クラスの生徒さんたちをこうして笑顔で送り出してきたのですね。

 

先生方と生徒さんたちのおかげで、ひとつのクラスもクローズする(開講しない)ことなく、ここまで続けて来られたのは誇りですし、この連続記録をいつまでも伸ばしていきたいと思います。100年続く学校をと偉そうなことを言っている以上、100クラスはあくまでも通過点に過ぎません(笑)。

 

89期生ということは、私たちは89回も同じ研修や授業を行っているという意味でもあります。それでも、毎回違うと先生方は言います。外から見ているよりも、実際に授業をしている先生方はよりその違いを感じるのでしょう。同じような内容を繰り返しているにもかかわらず、毎回、毎日、違った反応が返ってきて、初めての出来事が起こるのです。だからこそ、毎回緊張するし、初めてのような気持ちで教えることができるのでしょう。

 

先日観た、「50回目のファーストキス」という映画を思い出しました。交通事故によって脳の短期記憶を司る部分を損傷してしまった女性が、同じような毎日を、しかし初めての1日として過ごすという、笑いありハートフルな映画でした。彼女のようには生きられなかったとしても、現状に満足することなく、違いや変化に敏感に気がつくことさえできれば、初めてのような新鮮な気持ちを持ち続けることは私たちにもできるはずです。

 

 

生徒さんたちが楽しんで笑顔で授業を受け、先生方が楽しそうに授業をしてくれている。そのことだけで私は嬉しく思います。それはどのクラスでも、どの授業でも、湘南ケアカレッジがスタートしたときから変わらず、毎日抱き続けている気持ちです。その喜びは、89回目の介護職員初任者研修であっても変わりません。これからも笑顔や楽しんでいる姿を見るために、毎日教室に足を運び、先生方や生徒さんたちと話し、湘南ケアカレッジをより良い学校にしていきたいと思います。