それぞれを生かして

昨年に修了した実務者研修クラスの集まりに参加してきました。介護福祉士試験を受けた方は全員合格したという嬉しい知らせからスタートし、ケアカレで学んだことや思い出から、今の現場における深い話まで、さすが実務者研修に来て介護福祉士まで取った卒業生さんたちだと思わせられました。これから介護の現場に一歩踏み出す介護職員初任者研修の卒業生さんたちの初々しさとはまた違って、現場を知りつつ、理想と現実のはざまで苦しみつつも、それぞれに今、自分ができることを考えている。そんな一本芯の入った話を聞いているうちに、それぞれが自分の良さや人となりを生かして働いていて、それぞれが磨かれているのだなあと素直に尊敬の念を抱きました。

主に障害者の訪問介護やガイドヘルプをしているAさんは、事業所にひとりしか男性がいないため、男性にしかできない仕事がたくさん回ってきて重宝されていると語ってくれました。ガイドヘルパーとして支援するときには、彼の得意なゲームを生かして、コミュニケーションをとることができるそうです。ゲームを一緒にやったり、ときには「教えて」と頼まれることも。利用者さんも深い話ができて嬉しいはずですね。

 

また、人と関わることが大好きで、懐メロに詳しいOさんは、高齢の方々とのカラオケで力を発揮するそうです。そのように属人的な個性を生かしている彼ら彼女らの話を聞くと、私にはできないことばかりで、介護や福祉は取り換えが利かない仕事なのだなあとつくづく思うのです。その人でなければできない仕事がたくさんあるのです。

 

もちろん、ケアカレの思い出もたくさん聞かせてもらいました。小野寺先生のボディメカニクスの授業はとても役になっているという話や食事の授業で登場するキャサリン先生の話。特に介護職員初任者研修から実務者研修までケアカレで修了した卒業生さんは、実務者研修でもキャサリンが登場したことを喜び、自助具を簡単に作ることができることがとても印象に残っていると語っていました。

 

ただ単に自助具をつくることを教えてもらうよりも、ああやって記憶に残る形で教えてもらえると、それはいつかどこかで何かのきっかけとして学びからの実践に至るのではないかと。望月先生や佐々木先生が聞いたら喜ぶだろうなと思いながら聞いていました。

 

 

介護士と看護師の間にある溝の話も興味深かったです。多職種連携なんていうのはかけ声ばかりで、ほとんどの現場ではやはり看護師は介護士を下に見ていると。自分たちにはできることがあるから当然の意識(無意識)だと思いつつ、それでは介護士はどうしていくかというと、自分たちの専門性を高めつつ、自ら働きかけていく必要があるのだと。利用者さんと看護師の橋渡しをするのは介護士の役割でもあり、そのためには介護士ももっと学ばなければならないし、そうしてひとり一人が意識を高く持ち、認めてもらうことを積み重ねていくことが大切だと考えている。

 

そんな話を聞いて、もう彼ら彼女たちはケアカレの卒業生ではなく(それはごく一部であって)、立派な介護士としてひとり立ちしているのだと思いを改めました。「同じ介護福祉士になって会いましょう」と先生方は実務者研修の終わりに言いますが、そういうことなのですね。