未来が評価してくれる

実務者研修の総合演習が終わったとき、「皆さんの今の頑張りは、将来に評価されるのです」と小野寺先生が言っていました。特に介護の世界では、その場で「ありがとう」と感謝されることはあっても、その仕事の本質的な評価は、だいぶ後になってから下されることになるはずです。今こうしたからこうなったというように、早急な結果が出ることはほとんどありません。スパンが長いのです。もしかすると、利用者さんがお亡くなりになったあとに、あのときああしておいて良かったなあと分かることも多いのではないでしょうか。つまり、一般的(客観的)な評価とは、私たちが思うよりもずっと後に訪れるのです。

 

それは他の分野のどの仕事でも実は同じです。今どれだけ頑張っていても、そのことが回り巡って自分に返ってくるのは、だいぶ先の忘れた頃になります。だから、自分がしていることが今認められなくて当然と思うぐらいで丁度いいですし、逆に今すぐに結果や評価が出てしまうような仕事には未来がないと考えてもいいはずです。むしろ今やっていることと、一般的な評価が現れてくるまでのタイムラグがあればあるほど、より大きな成果が伴うと考えるべきだと思います。テコの原理を使って、今やっていることを、未来に向けて投資していく。シーソーのようなイメージですね。

 

もう少し具体的に言うと、今は何よりも経験や知識、学びを得ることに投資をすることです。誤解されるかもしれませんが、仕事は安いところに多く降ってきますので、できるだけ報酬(評価)を得ずに、たくさんの仕事をする機会を得る方を選ぶということです。自分の能力や頑張りが今の報酬と見合っていない(もしくは搾取されている)と思うならば、それは未来が評価してくれる大きなチャンスです。

 

決してブラック企業を礼賛しているわけではありません(経験や知識、学びを得る仕事が少ないのがブラック企業です)。逆に言うと、今の報酬が仕事に見合っている、もしくは十分にもらっていると思うならば、未来が尻すぼみになるピンチだと受け止めてください。

 

「若いときの苦労は買ってでもしろ」というのは、そういう意味だと思うのです。今は受け取りすぎてはいけず、与えることで未来に向けて投資する。10代に頑張ったことが20代をつくり、20代で取り組んだことが30代をつくり、30代で情熱を傾けたことが40代をつくり、40代で…と綿々と続いていく。

 

 

それじゃあ、最終的にはいつ受け取ることができるのですかという問いには、いつまでも受け取らない状態が理想なのかもしれませんとお答えします。多くを受け取り始めたときから未来への投資が少なくなり、衰退が始まってしまうからです。常に与え続けることで、未来へつながる山を少しずつ高くしていくイメージです。私はそう思うようにしてやってきましたし、これから先どのようにしていこうか悩んでいるところです。小野寺先生の言葉を聞いて、ふと自らの生き方の原点を見つめ直させてもらいました。