介護の仕事以外にも役に立つ

3年前の日曜日クラスの卒業生さんが、フラッと教室に立ち寄ってくださいました。やり投げをしている娘さんを応援しに、大会の会場まで行って来たその帰りだそうです。以前にも中央林間の駅でたまたますれ違ったことがあり、その時、私が声を掛けたことで、「覚えていてくれてありがとうございました」と葉書までいただいていた卒業生さんでした。今はまだ介護の仕事をしているわけではなく、実はリサイクルショップで働いていると申し訳なさそうに彼女は話してくれましたが、「でも今の仕事にも、ケアカレの初任者研修で学んだことはとても役立っています」と語ってくれました。そうです、介護の仕事に就いていなくてもいいんです。介護の仕事をする、しないにかかわらず、介護職員初任者研修は誰もがより良く生きていくために学ぶべき内容になっているのです。

 

ちょうど阿波加先生のコミュニケーションの授業を少し見学してもらった後だったからかもしれませんが、「たとえば、コミュニケーションの授業で勉強した傾聴や共感といった、相手の話を聞き、相手が何を言おうとしているのかを知ることが大切だと学びました。これは特にクレーム対応に役立っています」と教えてくれました。

 

まずは謝って、それから怒っている相手の話をよく聞き、決して話をかぶせたり、相手を否定することなく、言わんとしていることを推し測って、ゆっくりとはっきりした言葉を返すこと。認知症の方への接し方と共通する点が多いように、つまりは人とのコミュニケーションの原点がそこにあるのでしょう。そこがずれてしまうと、相手の感情を逆なでしてしまったり、余計に怒らせてしまって収拾がつかなくなるのです。

 

上はあくまでも一例ですが、人が生きて死んでいくことについて、介護職員初任者研修では学ぶことができます。これはずっと言ってきていることですが、介護職員初任者研修は介護の仕事をする前に必ず学んでおかなければならないのはもちろん、介護の仕事をしない、介護に直接たずさわらない人であっても学んでおくべき内容ばかりです。

 

 

本当のことを言うと、これからの時代は誰もが介護を避けて通ることはできないので、老若男女問わず、日本に生きている全員が介護職員初任者研修を受けるべきだと思います。我田引水かもしれませんが、介護や福祉を義務教育に組み込めないのであれば、なおさらある程度の年齢に達した人は学ぶ仕組みにするべきです。全ての成人が介護職員初任者研修を学んでいる国は、世界に誇る優しい福祉国家になるのではないでしょうか。