「いざという時に迷わない救命講座」レビュー

今月のケアカレナイトは、村井先生による「いざという時に迷わない救命講座」でした。先日、第一回目の講演が行われ、とても初回とは思えない完成度の高さで、村井先生がどれだけの時間を掛けて準備をしてきたのか伺い知れるほどでした。実務者研修の医療的ケアの最後に行っている救命救急の授業とはまた違った、より深く、詳しく、実践的な内容に、来てくれた参加者の皆さまは大満足して帰って行かれました。介護施設において義務付けられているは救命救急の研修とは違って、「言葉が分かりやすかった」、「消防士による救命救急の研修はAED等がセッティングされている状態でしたが、今回はAEDの組み立て(配線等)から自分で出来たので良かった」という声が多かったです。

 

私も後ろで聴講させていただき、その深い内容に学び入りつつ、分かりやすい伝え方に感心していました。今回の参加者は、自らお金を払って救命救急講座を受けにきているため、モチベーションや学ぶ意識は非常に高い方々ばかりでしたが、たとえあまり救命救急に興味がない一般の人々が聞いても分かりやすく学べるのではと思ったほどです。分かりやすさの理由は単純で、救命救急について伝えるべき内容が整理されていたからです。村井先生の中で一度かみ砕かれて整理され、さらに相手に上手く伝えるためにもう一度整理されるという過程を経て生まれた講座だからです。

 

 

もちろん、分かりやすく整理されているだけではありません。ケアカレナイトでやるからには、普通の救命救急の研修とは違ったものにしなければいけません。今回は人工呼吸を行うにおいて、バックマスクを使った換気を練習してもらいました。実際に救命救急の現場に居合わせたとき、相手が家族でもなければ、マウストゥマウスの人工呼吸は難しいはずです。相手が何らかの感染症を持っているかもしれず、また心理的にもハードルが高いのではないでしょうか。そこで介護施設に眠っているはずのバックマスクを使って質の高い人工呼吸を行うことができれば、誰かの命を救うことができるかもしれません。それは胸骨圧迫(心臓マッサージ)や気道確保についても同じです。いざというときに迷わず、質の高い救命救急ができるようになるためには継続した練習しかないのです。

正直に言うと、救命救急については、医療従事者ではないたとえば介護職や一般の方々は、今回の内容だけをしっかり学ぶだけで完璧だと思います。つまり、救命救急講座としてはこれ以上ないものだということです。およそ2時間の内容でしたが、配布された資料を含め、参加された方々はもう一度復習をして身につけてもらえれば、誰かに教えることさえできるかもしれませんね。今回と次回(25日)だけで終わるのはもったいない気もしますので、どこかの現場で研修が必要な際は出向きますのでぜひ声を掛けてください。素晴らしい講座を作り上げてくださった村井先生、ありがとうございました。また最後まで一生懸命に取り組んでくれた参加者の皆さま、ありがとうございました!

 

 

来月のケアカレナイトは、脳科学者の恩蔵絢子さんによる認知症をテーマにした講座です。「記憶を失うと、その人はその人でなくなるのか?」という哲学的な問いを解説していただきたいと思います。まだ少し席がありますので、興味のある方はぜひお越しください!