「最初が肝心」という聞き慣れた言葉があります。あまりにも漠然としすぎて、見渡す限り何も見えない平原で、何をして遊んでもいいよと言われた子どものように戸惑ってしまいます。最初が大切という意味は理解できても、具体的に何をどうすれば良いのか分からないのです。「最初が肝心」を私なりに解釈すると、全体を10割だとすると、最初の2割によって残りの8割も決まってしまうので、最初の2割をどうするかによって全体の10割も大きく変わってしまうということ。それでもまだ分かりにくいので言い換えると、何をするにしても、最初に集中して頑張ってやっておくと全体の結果も良くなり、また最初の部分を見るだけで全体の姿もほぼ見えてくるということです。これは仕事をする上だけではなく、人生を語るときにも当てはまる大切な話だと思います。
まず、人間の集中力は無限ではありませんので、最初の部分に集中させると良いです。たとえば、1日のうちでやるべきことがあるとして、そのうちでも重要なことを1日の早い段階(朝とか午前中)にエネルギーを使ってやり切るということです。1日をまんべんなく区切って、エネルギーを均等に分配するのではなく、最初の部分に集中させるということ。それによって勢いがつき、残りの時間も有意義に過ごすことができ、全体としては大きくプラスに働くのです。マイペースという言葉がありますが、得てして均等にエネルギーを使うことを意味しますので、マイペースで生きることは全体としては良く生きることにつながるか疑問です。
もう少し長期的な視点で考えてみても、たとえば1年後に10の地点にたどり着こうと思ったら、ほとんどの人は1ヶ月で1ずつ進んでいこうと計画を立てるはずです。そうではなく、最初の3か月で2ずつ進んで、その後は1や0.5ぐらいの感覚でメリハリをつけるべきです。マイペースで計画すると途中で上手く行かなかったり、プランを変更せざるをなくなったりして、10の地点にたどり着けなかったりします。一方、最初に集中して2ずつ進もうとすると、途中の失敗や変更にも対応できる余裕が生まれ、上手く行くと全体として10を超える地点までたどり着けることもあるのです。
これが分かってくると、今日は朝から何をしようかと考えるはずです。その日にやるべきことの中で最も重要なことは何かを決めて、それを朝一から集中して取り組むのです。朝はエンジンが掛からないからゆっくり始めようとか、会社に来てから朝ごはんを食べているようではいけません(笑)。あとからゆっくりすれば良いのです。1日中ずっと高い集中力で頑張り続けるのは若い頃でなければ難しいため、ほとんどの人はペース配分の問題として最初に集中すべきだということです。あとから頑張ろうと思って最初にだらだらとしてしまう人は、全体を振り返ってみると、最初から飛ばしていた人には追いつかないのです。これは1日の仕事だけではなく、人生の幸福の問題でもありますね。
もうひとつ、最初の部分を見ると全体も見えてくるということもあります。正直に言ってしまうと、最初の時点でダメなものは最後までダメ、全体としても良いものは最初から良いということです。これはパチンコから学んだことです(笑)若かりし頃、パチンコにはまっていた時期があり、その時にある法則を発見したのです。「出る台は最初から出るし、出ない台は最初から出ない」という法則です。もちろん例外もあって、最初だけ出て後から全く出なくなる台もあるし、最初は出ないけれど後から出始める台もありますが、あくまでも例外です。私が何を悟ったかというと、最初の部分を見れば、全体の姿もおおよそ見えてくる。つまり、最後まで待つ必要はなく、最初の部分だけを良く見て判断すればよいのです。これは人間にも、仕事にも職場にも、あらゆる全てのものに当てはまる法則です。
まとめると、私たちは自分ごととして何かに取り組むときには、最初から一気に集中して頑張ってみると、全体の結果としては良いものが出てくるということ。そして、他のものを判断するときには、最初の部分をしっかりと見極めることが大切だということです。この2つの法則は実はつながっていることに気づいた人は、同じエネルギーでもメリハリをつけて使うことによって、全体としてより良い人生を送ることができると分かるはずです。人生はそんなに簡単ではありませんが、この法則を知って実行できるかどうかで結果が大きく変わることは確かなのです。私がパチンコから学んだ法則を、ぜひ参考にしてみてください。最初が肝心なのです。