先生方とのおもひで

先日、湘南ケアカレッジのホームページやブログを見て、ケアカレの卒業生ではありませんが、講師として働きたいと直接メールしてくださった方がいました。「生徒さんたちと本気で向き合い、資格を売り物にしないという信念が胸に刺さりました」とおっしゃってもらいました。介護の学校の先生は、これからの介護・福祉の世界を少しずつ大きく変えてゆく大切な役割を担っています。歴史を振り返ってみても、何をどう教えて、何が伝わっていくかによって、提供される介護の質や内容が大きく変わってしまうからです。私たちは教育を通して、介護の世界を良い方向にも間違った方向にも導くことができる、責任のある仕事をさせてもらっています。今は募集をしていないため、残念ながら今回は見送ってもらうことになりましたが、湘南ケアカレッジの先生になりたいと希望してくださって素直に嬉しく思います。

 

介護の先生って良い仕事だなと考えていると、私も介護の先生方に育てられたことをふと思い出しました。今から20年前の話になりますが、大手の介護スクールで働き始めたとき、最初にコーディネーターとして担当させてもらった横浜校と上大岡校の先生方には、息子のように可愛がってもらいましたし、困ったときには助けてもらいました。それまでは子どもの教育にたずさわっていた私にとって、自分の親もしくはさらに年上の女性の先生方と一緒に仕事をするのは初めての経験でした。彼女たちの授業を聞いて、授業後には一緒に食事に行ったりして、介護の世界のことや全然関係のないことまで教えてもらいました。急に教室を拡大し始める前の1年間は、私にとって学び深き至福の時間でした。

 

その時に抱いていたのが、尊敬という感情だったのだと思います。私の知らない世界を知っている先生方を素直にリスペクトすることができました。そして何よりも、彼女たちは優しかった。仕事のできない私のミスを大目に見てくれて、フォローしてくれたり、手を差し伸べてくれたり、無理を聞いてもらったのは一度や二度ではありません。私を立ててくれて、妥協してくださったことも幾度もあったはずです。先生方との交流を通じて、私は介護の世界を知り、社会で生きることを学び、人間としても少しずつ成長させてもらったのです。介護や医療の先生方に対する尊敬の気持ちは、今でも変わりなく持ち続けています。

 

 

私が仕事を選ぶときに、何となく基準にしてきたことがあります。それは尊敬できる人たちと一緒に仕事をすることです。どれだけ稼げる仕事であっても、尊敬できない人や一緒にいるのが苦痛な人たちと仕事することはありません。その基準は今や確信に変わっています。そういう意味においては、介護の学校は、生徒さんたちも心優しい人ばかりで、彼ら彼女たちにも囲まれて仕事をしていると考えると、ほんとうに良い仕事に巡り会えたなと思います。ポジショントークでは決してなく、心からそう思うのです。もちろん、ひとつやり方や考え方を間違うと、幸せな時間は崩れてしまうことも知っていますので、湘南ケアカレッジを立ち上げたときの初心に戻って、「大きくしない」、「いただきすぎない」、「資格を売らない」を大切に守っていきたいと願います。