私たちは何のために介護の学校をやっているのでしょうか?何のために介護を教えているのでしょうか?
湘南ケアカレッジは「世界観が変わる福祉教育を」というテーマの下、2013年にスタートしました。研修が終わった後、生徒さんたちに「世界観が変わった」と言ってもらえるような教育を提供したい、つまり、それぐらい教育の内容や質を大切にする学校でありたい。その想いは今も変わりませんし、明確なテーマがあったからこそ、大きくブレることなく先生方と素晴らしい学校をつくり続けてこられたと思っています。そして10年目を迎えようとしている今、改めて根本的な問いかけを自分に向けてみる必要があります。
実際に研修を重ねて、学校を運営してきた経験や肌感覚から言えるのは、私たちは介護や福祉に関する知識や技術を教えることを通し、生徒さんたちを褒め・認めることが最大の仕事であるということです。そうすることで、介護の現場に一歩を踏み出す生徒さんたちの背中を押したり、現場で奮闘している生徒さんたちを励ますことができます。それ以上に大切なことがあるでしょうか。教育とは、知識や技術を伝えることだけではなく、誰かを褒め、認め、励まし、背中を押すことなのですね。
先月末、日曜日クラスと平日短期クラスがほぼ同時に終わり、男性の卒業生さん3名から感謝のメールをいただきました。個人的なメールなのでご紹介できなくて残念ですが、アンケートやメッセージボードだけでは伝えきれなかった思いを伝えてくれたのだと思います。
このような生の声を聞くと、それぞれの生徒さんたちがどのような気持ちで研修を受け、どんな感情を抱いて卒業したのか、表面的な感想ではなく心の本音が感じられます。私たちはどうしても先生目線、学校側からの見かたでしか普段は見えないものですが、たまにはこうして生徒さんの目線を感じてみるべきです。
彼らの心の声を聞くと、先生方が研修を通して、生徒さんたちを人間同士として褒め、認め、励ましてくれているのが分かりますし、生徒さんたちはそういう雰囲気や空気感に最も心を動かされていることが分かります。すごい知識や技術を教えてもらったことに感謝する生徒さんは一人もいませんが、笑顔で楽しく学べたことで、介護に対する見え方が大きく変わっただけではなく、大げさに言うと世界観が変わることにつながっています。
私たちは普段生きている中で他者から褒められたり、認められたりすることが意外に少ない、もしくはほとんどありません。そういうきっかけがないとも言えます。しかしそれとは逆に、私たちは教育を通して(何かを教えることを口実に)、他者を褒め、認めることができる珍しい仕事なのです。学校は先生の自己表現の場ではなく、生徒さんを褒め、認め、励まし、背中を押すことこそが教育や教育にたずさわる者の役割なのだと、10年目にして確信を持つことができました。これも素晴らしい授業を提供してくれている先生方と生徒さんのおかげですね。ありがとうございます。