現場で頑張る人たちを励ましたい

今から5年前に実務者研修がスタートしました。誰にとっても初めての研修でしたから、介護技術講習会とは全く別物であるとは思いつつも、じゃあどういう形になるのか、どういう方向に進むべきか、どうあるべきかと問われると、私は答えを持ち合わせていませんでした。五里霧中というか、視界がはっきりとしない中、先生方と手探りでつくり上げてきたと思います。試行錯誤しながらも、今年になってようやく、実務者研修がひとつの形になってきた気がします。

 

介護職員初任者研修はホームヘルパー2級からの流れで、その対象者も、研修が目指すべき方向も明確なイメージを抱いてケアカレは立ち上がりました。「世界観が変わる福祉教育を」提供することがテーマで、生徒さんたちの介護に対するイメージが卒業する頃には180度変わっている(360度ではありません笑)ことをゴールとして考えていました。もちろんそれに加えて、教え方のサイクル(まずは褒める・認めることの大切さ)や生徒さんと先生方、学校との距離感など、たくさんの工夫をしてきた結果、今のケアカレの文化があります。それらは全て先生方のおかげです。

 

実務者研修のテーマをひと言で言うと、「現場で働く人たちを励ましたい」ということです。正しい知識や最新の技術を伝えることはもちろんですが、それはあくまでも表面的な教育目的であって、湘南ケアカレッジの実務者研修の真のテーマは、参加した生徒さんたちがまた明日から介護の仕事を頑張ろう、明日現場に行くのが楽しみだと思ってもらうことです。そのためには、まず生徒さんたちの出来ていることや得意なこと、良いことを伝えて、褒め・認めてあげることではないでしょうか。介護の現場のスタッフは、責められたり怒られたりすることはあっても、褒め・認めてもらうことはほとんどないのです。今までもこれからも。だから私たち学校がその役割を担うべきだと思います。教えることを通して、現場で頑張る人たちを励ましたいのです。

 

その一環として、総合演習において、実技の発表という形にして生徒さん同士も互いに認め合える形式は素晴らしいと思いますし、同じことは医療的ケアで行っているフィードフォワードにも当てはまります。また、キャサリンからの手紙に感動してくださった生徒さんもいます。食事の授業が楽しかったので試験対策を申し込んでくれた生徒さんもいました。さらに細やかなサポート(特に外国の方に対して)も本人だけではなく、周りの生徒さんたちも見てくれていると思います。

 

 

実務者研修も理想的な形に近づきつつあるなと感じつつ、ふとコンセプトブックを読み返してみると、「働く人たちの心のケアになれるのかもしれない」と私は書いていました。もしかすると最初からアイデアはあったのかもしれません。時間をかけて、先生方がそのアイデアを形にしてくれたのが今の実務者研修ということですね。ありがとうございます。