つながりをつくる

授業が終わった後、小野寺先生が「何とかつなげられたかなと思います」と振り返っていたのが印象的でした。介護職員初任者研修は15日間、実務者研修は7日間のスクーリングがありますが、1日の授業が15回もしくは7回あるのではなく、それら1日1日の授業はすべてつながっているのです。自分の与えられた内容の授業を教えるだけであれば、ベテランの先生方にとってそれほど難しくはありませんが、次の授業や先生にバトンタッチをしてつなげていくことを考えると簡単なことではありません。また次もケアカレに来たいと楽しみに思ってもらわなければならないからです。ケアカレの先生方は、ただ単に授業をするだけではなく、つながりを作ろうと思って教えてくださっているのです。

 

授業と授業がつながっていることは大切です。具体的には、A先生とB先生の語る介護に関しての方向性が全く違うと生徒さんたちは混乱します。当然の話ですが、たとえばある先生はオムツは最終手段であり、できるだけ付けない生活を目指しましょうと言い、ある先生はオムツを外すのは現実問題として難しいから無理と言うと、つながりは失われてしまいます。生徒さんにとっては、どちらの言っていることが正しいのか、私たちはどうすれば良いのか分からなくなるのです。もちろん、先生方一人ひとりは考え方も経験も違いますので、全員が同じことを話すということではありません。それぞれに伝え方も意見も異なっていて良いのですが、目指している方向性が同じであるべきです。そうした一貫性があると、生徒さんたちは安心するはずです。

 

湘南ケアカレッジは他の学校と比べて、この一貫性という点において秀でていると思います。それにはいくつか理由があって、ひとつはどの研修も今いる先生方と一緒にイチから創り上げてきたからです。右往左往したり、試行錯誤したりもしましたが、基本的には同じ方向を向いて研修をつくってきました。そして何よりも大きかったのは、ケアカレはもともと36名設定の研修であり、メインの先生と2名のサポートの先生という3名体制を採っていたことで、他の先生の授業の内容をそれぞれが知っていることです。他の先生がどこで何を言っていて、何を教えているのか具体的に知っているからこそ、「〇〇先生が~と言っていたように」、「〇〇先生が~という話をしてくれるから楽しみにしてね」などとつなげることができるのです。

 

もうひとつ、生徒さん同士がつながっていることも大切です。研修が始まった頃には、生徒さんたちは一人で教室に来て、知っている人が誰もいない中、緊張しながら授業を受けることになります。もし授業が一方的に先生が話して、生徒さんが聞くというスタイルであれば、生徒さんたちはいつまで経ってもつながることはありません。ひとりで来てひとりで帰ることの繰り返しです。しかし、授業の中でグループワークをしたり、お互いに話す時間を意図的につくることによって、生徒さんたち同士につながりが生まれます。そうなると生徒さんたちは研修が進むごとに知っている人が増え、仲間の中で授業を受けている安心感が持てるようになります。生徒さん同士をつなげて、安心感のある雰囲気をつくっておくと、次の先生は授業をしやすいのです。それもつなげることの1つの意味です。

 

 

授業の内容だけではなく、生徒さん同士もつなげること。ただ教えるべきことを教えるのに比べて、いかに難しいか分かっていただけるはずです。ケアカレの先生方は、それぞれの方法でつながりをつくってくださっているからこそ、生徒さんたちは安心して最後まで研修を受けることができるのです。これからもつながりのある研修を提供したいですし、いろいろなつながりを作ることのできる学校でありたいと思います。


PS
上の色紙は7月短期クラスの皆さまからいただきました。ありがとうございます。初任者研修を修了して、仕事に就いても、ずっとヒヨコという気持ちを忘れずにいたいというメッセージも込められているそうです。先生方の似顔絵も素敵ですね。5年以上前の卒業生の紹介で来てくださった生徒さんもいて、そういう意味でもつながりのあるクラスでした。