他者とのつながりの中に喜びはある

年始からスタートした1月短期クラスが無事に修了しました。どのクラスも年齢層の幅が広くてという表現をしていますが、今回のクラスほど広かったことはありません。下は18歳から、上は80歳まで。見間違えではありませんよ。80です。ケアカレの初任者研修の卒業生さんの最高齢は83歳でしたが、それに次ぐ数字です。15日間の授業を一度も休むことなく、週4日、最後まで通って参加してくれました。ケアカレの唯一の課題である(バリアフリーになっていない)4階の教室まで階段で上がってくるも、ゆっくりとした歩みで登り切ってくださいました。そして、最終日は打ち上げにも参加されて、クラスメイトさんたちとカクテルを飲みながら、ピザを食べながら談笑されていました。「まだ時々車を運転するのよ」と言いながら、真っ赤なヴォルクスワーゲンの写真を私にも見せてくれました。只々、尊敬の念しかありません。

 

1月短期クラスは、年明けということもあってか、すでに介護の世界で働いている、もしくはこれから働くことが決まっているという生徒さんが多かった印象です。老若男女問わず、それぞれが普段の生活の中では出会うことのない、ケアカレに来ていなければ接点を持つことができなかったはずの人たちと一緒に学んだのです。10代の若い人たちにとって、もしかすると自分の祖父母よりも高齢の人たちと共に学ぶ経験は初めてでしょうし、その逆も然り。お互いにとって刺激になったはずですし、このような交流にこそ介護職員初任者研修の醍醐味が詰まっていると私は思います。そういえば、70代の男性も今回のクラスに参加してくださっていたのですが、「参加する前は自分が絶対に最年長だと思っていたけど、まさか上がいるとは…」とおっしゃっていたのが面白かったです(笑)。

 

話は大きく逸れますが、高校2年生になるうちの息子が高校を中退し、今はひとり家にいます。学校に行くよりも家で勉強した方が効率が良いから、というのが理由です。せめて塾ぐらいには行けばということで、授業見学をしてみたりもしましたが、「あの先生の教え方は分かりにくかった」とか「往復する時間がもったいないから、やっぱり自分でやるわ」などと理由をつけて、結局行かずじまいです。たしかに高校で1日かけて教えてもらう授業内容ぐらいは、自宅で集中して勉強すれば、午前中で終えられるかもしれません。塾で教えてもらう内容は、参考書や問題集を使えば学べるはずです。コンテンツ(中身)だけを得るのが目的であれば、それ以外の友だちと話したり授業後に遊びに行ったりする時間は無駄ですし、学校や塾に通うのは効率が悪いですよね。私もそういうガリ勉的な傾向はありましたので、若い人たちの気持ちも理解できます。

 

 

ただ、と思うのです。今だからはっきり言えるのですが、若い時に効率が良いと思っている生き方は、実は効率が悪いということです。どれだけ効率良く生きているつもりでも、たとえ目的に最短距離で到達したとしても、そこで得たものは社会に出てからほとんど役に立たないのです。むしろ効率の良さを求めて捨ててきたものこそが、その後、役に立つことさえあります。様々な人々との出会いや経験というやつです。役に立たなかったとしても、他者とつながった思い出は人生を彩りますし、他者と生きることの中に喜びや楽しさはあるのです。もちろん悲しさや苦悩もありますが。コンテンツ(中身)だと思って求めていたものは実は空虚なものであり、それ以外の無駄であると思っていたものこそ人生におけるコンテンツ(中身)なのです。このことにどれだけ早く気づけるかが大切です。効率を求めることは否定しませんし、他者と世界を共有することに抵抗があるかもしれませんが、たまには頑張って自分の世界を拡げてみるといいでしょう。うちの息子も早く気づいてくれるといいな。