「イラっとしない・させないコミュニケーションズ技術」藤田省一

ゴールデンウイーク最終日に、かいザニアの講演イベントとして、藤田省一さんをゲストスピーカーに招き、「イラッとしない・させないコミュニケーションズ技術」について話してもらいました。介護現場で働く人たちだけではなく、あらゆる仕事に就いて働く人々にも聞いてもらいたい、とにかく深くて良い内容でした。

 

 

今から6年前、ケアカレナイトにて、藤田先生には「アンガーマネジメント」について教えてもらいましたが、それをさらに進化させたような突っ込んだ話でした。私自身も、最近年齢を重ねるごとにイラっとする回数が増えてきていることもあり、身につまされる話であり、自分のべき思考をもう一度見つめ直してみる良い機会になりました。

私が最近イラっとしたのは、お風呂に入る時間が遅くなったことです。うちの家族は(私も含めて)長風呂で、お風呂に入ると1時間ぐらいは出てきません。出て来ても洗面所で髪を乾かしたり、最近大学デビューした息子はお肌の手入れなんかもしている始末で、次の人がなかなか入れません。そうこうしているうちに時間が経ち、10時ぐらいから1人目が入り始めたとしても、最後の人がお風呂に入るのは12時を回っています。1人目が入るのが30分遅れたとすると、最後の人がお風呂に入って就寝できるのは深夜2時近くということになります。私が最後に入ることが多いのですが、さすがにお風呂上りにチンタラとお肌の手入れをしている息子にイラっとして、「それいつまでかかるの?」と嫌味を言ってしまいました。大人気ないですね。

 

こんなしょーもない話ですが、研修で藤田先生に教えてもらったことに沿って、自分の感情について分析してみました。あとからお風呂に入る人のことを考えられない息子に対する失望感、いや、私が早く入って寝たいのに入れなくて嫌だという一次感情があったと思います。もう少し長くお風呂に入りたい気持ちも分かるのですが、自分ひとりで暮らしているのではないのだから、周りの人たちのことも考えて、早めに切り上げてバトンタッチすべきという「べき思考」も私の中にあります。

 

さらに深掘りすると、父親であり年長者である私に主導権があり、敬われて尊重されるべきだという権利意識や権力志向もあったはずです。もし私がホームステイや居候としてこの家に住んでいるとしたら、自分が一番最後になって寝るのが遅くなろうが、嫌だと思うことはあっても、イラっとして文句を言ったりしませんからね。この最後の部分が、自分には見えていない一次感情であり、自分をイラっとさせるべき思考なのですね。

 

このようにして、自分の一次感情やべき思考と向き合って考えることは大切です。プライドが高くて、自分だけでは深い感情まで向き合えないという人は特に、プロセスレコードを用いて、他者と共有しつつも自分では見えない感情を指摘してもらうことがおすすめです。年齢が上がれば上がるほど、べき思考はより強く固まっていき、一次感情に気づくのに鈍感になり、他者からそれを指摘してもらう場面も少なくなります。最も厄介なのは権利意識や権力志向が強まることです。

 

 

裏を返すと、自分がイラっとしている原因の全てが、他者をイラっとさせている、または困らせていることにつながるのです。年を重ねるほど、べき思考や権利意識、権力志向を手放して、自分も周りもイラっとしない・させない関係性の中で楽しく過ごしていきたいものですね。