ハッピーバースデーソング

今年度からの新しい取り組みとして、実務者研修の外国人専用クラスを開催しています。コロナ騒動以降に特定技能として日本にやって来て、介護の現場で働いて数年になる外国人がそろそろ介護福祉士を見据えなければいけない時期に来ていることもあり、実務者研修を受けたいという要望が高まっていたからです。これまでも通常のクラスに入って日本人と一緒に研修を受ける外国の方もたくさんいましたが、本音としては、外国人専用クラスがあるならそちらの方が安心するということです。個人的には、介護の現場がそうであるように、日本人に混じった方が良いと考えていますが、外国の人たちにとってはやはり不安もあるようです。添削課題や授業時間等はそのままに、授業の内容はゆっくりと丁寧に、漢字にはふりがなを振りながら進めてきました。

私たちにとっても初めての外国人専用クラスですが、一緒に進めているうちに、少しずつ分かってきたことがあります。たとえば、当たり前ではありますが、それぞれの日本語力には大きな差があることです。日本語検定の3級(N3)や2級(N2)といった区分けはありますが、同じN3でも限りなくN2に近いN3とギリギリN3に受かったというレベルのN3があるのです。これはあくまでも私の体感ですが、N3レベルだと片言というか、授業の内容を理解するのはかなり難しく、N2レベルでやっとついてこられるかなという感じです。それでもあきらめず、休むことなく参加している彼ら彼女たちは、相当な覚悟を持って日本に来ていることが伝わってきますので、私たちもそれに応えるべく、全員が修了できるようにサポートしたいと思います。

 

外国人クラスならではの面白さもあります。先日、たまたま授業の日に誕生日を迎えた生徒さんがいて、ケアカレ恒例の誕生日お祝いをしました。サプライズでバースデーソングを歌って、誕生日ケーキを渡すのですが、通常の日本人クラスですと先生が「それじゃあ、バースデーソングを歌ってお祝いしましょう!」と促してはじめて生徒さんたちは歌い出すのですが、今回は先生が「今日は〇〇さんの誕生日です!」と言ったそばから、誰かが歌い始め、すぐさま全員が続いたのです。これにはビックリしたのですが、さらに驚かされたのは、バースデーソングが私たちがいつも歌っているそれと少し違ったことです。出だしから途中までは同じで、(やはり世界共通なのだ)と安心してたら、最後の部分の音程が異なっていて、何だかカッコ良かったのです。「天使にラブソングをみたいだった」と望月先生は表現してくれました。

 

 

ハッピーバースデーソングを歌って誕生日をお祝いするという文化は世界共通でしたが、歌が少し異なっていたように、私たちは基本的には通底する部分でつながりつつ、違いのある部分に関してはお互いに面白がると良いのではないでしょうか。この先、介護の業界は特に、外国人の力を借りないと成り立たなくなるのは明らかです。そのとき、この違いを面白がれる力がお互いに必要になってくるはずです。違いを受け入れられるかどうかはもっと後の問題で、まずは違いを面白がるところからスタートするべきです。湘南ケアカレッジが開校して13年目に入り、時代が変わりつつあるのを感じています。そういえば、お祝いに渡したショートケーキは食べてくれたのでしょうか。美味しかったかなあ。